登記簿上のリスク |
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落札後裁判所の職権による登記により所有権は移転され、それ以外の権利はほとんど抹消されますがなかにはそのまま残るものも有るので充分な調査が必要です。
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物件の持っている瑕疵(かし) |
あらかじめ物件内部を見ることはできませんが、裁判所で公開している資料(通称:青ファイル)及びインターネットにより写真で確認することは出来ます。ただし内部すべてを撮影しているわけではありません。「青ファイル」は裁判所の書記官及び不動産鑑定士が調査したもので、不動産業者が発行する重要事項説明書とは違います。特に調査日以降については自身で確認する必要が有ります。
※司法書士・不動産業者 先頭に戻る
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入札価格 |
当然のことですが入札者全員の中で一番札でなければ自分のものとなりません。より落札の可能性を高める為、マンション・一戸建等該当種類ごとの統計調査が必要です。
1)年間を通じての入札動向調査 |
2)売却基準価格に対する平均UP率 |
3)一物件に対する平均入札本数 |
4)各々の物件が持っている特性の確認〜地域・土地面積・方向・間取り・築年・事件関係・
延滞金等 |
5)一般市場調査 |
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売却基準価額と買受可能価額 |
従前「最低売却価格」と表示されていたものが、現在は「売却基準価額」と表示されております。この価格は裁判所より依頼を受けた不動産鑑定士が評価した金額であり、入札はこの金額にこだわる必要はありません。従前の「最低売却価格」に替わるものが「買受可能価額」と表示されるようになりました。算出基準は「売却基準価額」の80%となります。この金額を下回って入札した場合は、応札の対象外となります。
この制度を取り入れた理由は次の通りです。
応札がなく、特別売却においても売却できない場合は、再度評価して競売に掛けることになります。結果として事務作業の簡素化、再鑑定費用の節減を図ることが出来かつ業務が迅速に進み、債権債務の早期解決につながります。
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記入もれ・添付書類の不備 |
裁判所の指定用紙により応札しますが、「入札書」は封筒の中に入れますので窓口の受付担当者は確認できません。従って記入間違い、記入・捺印もれ、添付資料等については充分気をつけなければいけません。入札前に誤りが発見された場合は、窓口で訂正出来ますので印鑑を持参するとよいでしょう。 尚、入札後誤りが発見された場合は、入札は無効となりますが保証金は返還されます。
※裁判所の入札窓口、入札経験のある人間 先頭に戻る
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敷金返還について |
落札した物件に賃貸借契約が締結されており、かつ敷金及びこれに類するものが貸主に支払われている場合にあっても、落札者はある一定条件を除き、その敷金を返還する義務はありません。貸主において返還するよう法律で義務づけられております。
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賃借権について |
競売の原因となった抵当権他が登記されたあとの賃借権は、登記されていても落札後において裁判所の職権により強制的に抹消されます。しかし、前述の抵当権他の登記以前に発生している賃借権については充分検討する必要が有ります。
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占有関係 |
旧所有者本人又は第三者が占有している場合があります。落札した場合であっても物件の所有権を取得した事であって、占有者が物件内より立ち退く事とは別の事です。従って立ち退かない場合は法律に基づいて裁判所に手続きを行い、合法的に立ち退いてもらう事になります。尚、賃貸借契約の有る場合、満期期日を確認の上対策を立てる必要が有ります。
※弁護士 先頭に戻る
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権外物件 |
入札対象物件とは別に第三者の権利と思われる物件が存在する場合が有ります。対象物件及びそれに付随するものの権利関係を事前に調査の上、対策を講じて応札する事が必要です。
※弁護士、司法書士、不動産業者 先頭に戻る
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残置物 |
落札した物件の建物内にある動産のことを残置物と表現しています。しかし、新築時に付帯設備として設置されていたものは対象外です。例えば残置物には次のようなものが有ります。
・家財道具 ・衣 類 ・書画骨董 ・銘 石 |
・写 真 ・趣味に関係するもの 等々 |
全くのゴミであれば廃棄することで良いのですが、価値があると判断されるものにあっては多種多様に条件が異なりますので勝手に処分せず合法的に対応する事が必要です。
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強制執行の業務の状況について |
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不動産引渡命令の申立、執行文付与の申立、強制執行の申立につきましては、従前と同じに進んでおります。しかし、強制執行の現状については、日時が決定した後はほとんど延期が認められません。このことについて認識不足の占有者が、当日間近になってあわてる例が多くなって来ています。
落札者の解決策としては、執行日が決定した後すみやかに「執行日の延期が出来ない」旨占有者に通知することが必要です。
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権利証について |
↓
シール部分を拡大 |
土地や建物に関する権利証の制度が出来てから100年以上になります。しかし「権利証」という表現は正確ではありません。
「権利証」と表示されている書面は担当司法書士が独自に作成したものであり、中をめくってみると「所有権移転登記済証」とか「保存登記済証」等の表示があります。実はこの書面に権利が表示されているわけです(全ての登記済証に権利が存するわけではないのですが、複雑になりますのでこの説明は別にゆずります)。
実はこの「権利証」が全国で順次姿を消しつつあります。
新たな表題は「登記識別情報」といいます。これはA4の紙ぺら1枚のみです。(左画像参照)誠に重みのないものになってしまいました。この用紙の下部にシールが張ってあり、これをはがすと12桁の文字が記載されております。ランダムに抽出された数字とアルファベットで構成され暗号化されております。従って法務局のシステムを使わない限り内容はまったく不明となるわけです。なぜシールを張ってあるのか、これは大した理由ではありません。第三者に見られることがないようにしているだけです。新しいものは所有者等の明細はデータ化されて隠れ、以前の「権利証」よりかなり進化していますが用心に越したことはありません。
シールは はがさないほうが良いでしょう。
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融 資 |
平成10年12月16日施行にかかる法律の改正により裁判所の職権による登記と同時に落札者が必要とする登記も同時に出来ることとなりました。従って自己資金のみでは不足の場合、住宅ローン等の借入により物件を取得することもより容易となりました。 ※金融機関 先頭に戻る
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「売却許可決定」書面コピーの有料化 |
今までは執行官室へ申し出ると無料でコピーしていただけましたが、平成20年6月23日現在、1枚単価150円かかることになりました。だいたいは1部が2〜3ページのため、300〜400円程度がかかります。
ちなみに納付方法は収入印紙です。
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総 括 |
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昭和50年代前半迄は「競り売り」の形態で行われていた競売が、昭和55年10月1日施行された民事執行法(法律第4号)により、入札制度が取り入れられ一般の消費者も参加しやすくなって来ました。
しかし、条件により権利関係が抹消されない場合が多々有り敬遠されがちでしたが、現在は権利の評価方法が変わり、正当と判断されない登記については全て抹消されることとなり理解しやすくなっています。又、前述の「融資」に関する抵当権設定登記が裁判所の職権による所有権移転登記と同日に行う事を認められる事となり、一般消費者にとって一段と身近な存在となりました。
冒頭にも記載されておりますが、市場価格と比較し競売物件は割安であることに間違いはありません。端的に表現するとリスクの少ない物件はメリットも少なく、リスクの多い物件は市場価格の半分以下でも落札出来る場合が有ります。
そのリスクに対し、トラブルをいかに少なく押さえ対処する事が出来るかがポイントです。一般論としては大きなトラブルが予想される物件は控えるべきと考えます。是非皆様もリスクの少ない物件を選択し、入札に参加する事をお勧め致します。
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